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グラススキースポーツについて

グラススキーは1960年代にドイツ人のヨーゼフ・カイゼルによって発明され、キャタピ ラ・ベルト付の用具を用い、草の斜面を滑走するスポーツです。 基本動作がスノースキーと同じ為、当初はスノースキーのシーズン・オフのトレーニング用具 として、主にヨーロッパのアルペン種目の盛んな諸国で発展しました。 その後70年代には、アメリカに上陸すると同時に世界的規模のメジャースポーツとしての地 位を獲得し、春・夏・秋の3シーズン楽しめる独立したスポーツとして定着しました。 1975年には世界グラススキー連盟が設立され、79年には第1回の世界選手権も開かれる ようになりました。 我が国でも1985年、日本グラススキー協会が設立され、87年には長野県野辺山スキー場 で第5回の世界選手権大会を開催しました。 また、これに先立ち86年には世界グラススキー連盟が国際スキー連盟(FIS)に加盟し 国際スキー連盟グラススキー・コミッティとなったことで、さらに人口も増加し、現在世界約 30ヶ国に推定2,000万人のグラススキーヤーが数えられますが、共通する悲願は夏季オ リンピックの正式種目に採用されることです。 このため、FISでは競技としての更なる普及と認知度向上のために1998年から「ワール ドカップ」の実施と、ジュニアの強化という2つの大きな方針を定め、加盟各国の協力を要請 してきています。


「ワールドカップ」はスノースキーと同様、30~40名程度で世界のトップクラス選手による大会にて 98年度は6戦が開催されました。「ジュニアの強化」は、2004年の夏季オリンピック正式種目を念 頭に置き、その時点での中心選手育成を中長期のスパンで捉えようとするものです。特に日本は、2000 年の「世界ジュニア選手権大会」を誘致していることもあり、短期・長期にわたるジュニア部門の選手強化 が急務となっています。また、長年の課題であった冬季スキー用リフトの夏場の運行についても 甲種・乙種の区別がなくなり夏運行ができるようになりました。これを契機にして、有力スノースキー上は 早速グラススキー導入を決め、続々と協会に問い合わせが殺到している状況です。 こうした背景を踏まえてJGSAポイントレース&トレーニングの一層の拡大を図り、世界有数の競技人 口を生み出すために今後さらなる活動に取組んで行きます。


フリースタイルの面白みも味わえるグラススキー

グラススキーはスノースキーと同じように、左右の回転運動を利用 して斜面をよりスムーズに滑走するスポーツで、テクニックや基本 操作はスノースキーと同じであるが、キャタピラで草の上を滑ると いう特性上、一般的には横滑りしないし急停止ができないため、回 転する際はしっかりとした外側荷重とスムーズな荷重移動がポイン トとなる。 スキーの基本レッスンにもぴったりだし、スキー自体が短いのでバ ランスが磨ける。しかも、前後に自由に回るスキーの特徴を生かせ ばフリースタイルの面白さも味わえ、スピードレースとしても楽し める。スキーヤーなら誰もが知っているトンバ、ツルブリッケン、 ステンマルクといったオリンピック・メダリストは、ほとんどがグ ラススキー愛好者である。


  • 石ころ1つ、この根1本も大敵
  • グラススキーの魅力、それは冬だけだったスキーの醍醐味を4シ ーズン楽しめるようにしたこと。 雪が降らないスキー場(つい先頃までは全く常識はずれであった スキー施設)がグラススキー場として利用でき、夏期も営業可能 ならと新しいチャンスの到来に胸躍らせるスノースキー場も増加 している。 そういったところに申し上げたいのは、斜面の石などを完全に除 去していだきたいこと、木の根を掘り出すこと。 グラススキーはプラスチックでできているので、整備は十分に! そしてもう一言、お洒落なクラブハウスを作っていただきたい。


  • コース加工上の留意点
  • 1990年、第6回日本選手権大会を開いた宮崎県東諸県郡国富町の法華獄公園スキー場のプロフィールを紹介しよう。

    敷地面積:2万5,000㎡
    コース全長:1万6,000㎡
    コース幅:50m
    平均斜度:10°(最大14°)
    リフト:甲種特殊道固定循環式
    2人乗り241m
    クラブハウス:敷地面積・・・500㎡
    建築面積・・・112㎡
    着工:昭和63年7月7日
    竣工:平成元年2月28日
    総事業費:1億6千万円
    このグラススキー場はコースの芝が見事で、現在グラススキー協会 総裁でもあられる高円宮殿下も感嘆極まれるご様子で、表彰式に 選手諸君の健闘を讃えられると同時に、芝の美しさを高く評価された もちろん、グラススキーの大敵である石ころ1つ、木の根1本も 見出せない実に立派な施設である。ただ、唯一の難は標高差、全 長ともにFISの規定を若干下回っていることであった。
    グラススキーの種目とそれに対応する施設の内容は次の通り。

  • スラローム(回転)
  • スラロームコースの標高差は全試合において、男・女共に最低60m、最高120mとする。 コースの全長は最短250m、最長500mとする。
  • ジャイアントスラローム(大回転
  • 男・女のコースの標高差は最低80mで、150mを超えては ならない。コースの全長は最短400m、最長750mとする。
  • スーパーG
  • 男・女の標高差は最低100mとし、180mを超えてはなら ない。男・女コースの全長は最短500m、最長900mとする。

    以上がFISルールの規定であるが、国土のせまい我が国では、上記3種目をこなせるスキー場は望むべくもない。という ことで、協会独自の判断で基準を若干ゆるめ、安全性に対する配慮が十分になされていると判断される時は、高さ、長さにつ いては大目に見て公認することにしている。もっとも、国際大会を開く場合には、FISのホモロゲーション(基準にのっと った視察)を受けなければならない。この他、グラススキーの水洗いの必要性から、次のような規定もあり、施工上の注意点となっている。


  • 洗い場と待機場
  • スタート・ゴール地点での洗い場、待機場は観客席から独立しテントなどで覆わなければならない。グラススキーの洗浄や手 入れはこの場のみとする。洗い場・待機場には排水用の下水道がなければならない。
    以上、グラススキー場の施設の特徴に触れたが、もう1点しばしば質問を受けるのが、斜面は人工芝か天然芝かということで ある。これについて答えると、多くの人が不思議そうな顔で納得し難いという素振りをされるのだが、人工芝のグラススキー 場というのは外国にはないということだ。


    我が国での世界選手権大会の折、来日した外国選手を狭山の人口スキー場に招きパラレルの大会を開い たが、外国選手、役員ともにあ然としてゲレンデを見つめる姿があった。凹凸がなく、ビロードを敷き つめたような斜面には不慣れであったためか、国際大会では珍しく日本選手が勝ち続けたものだが、そ のあと、FISのルールブックに「人工芝はグラススキーがなじまない」という文面が登場した。しか し、良いか悪いかというのではなく「なじまない」などというルールがあってよいはずもなく、やがて いつの間にかこの一行は消えてしまったのである。スタート地点、ゴール地点など、天然芝のはがれや すいエリアは人工芝を使用するほうがベターなの場合もあろう。 緑の風、太陽・・・グリーン志向にピッタリ身軽なTシャツスタイルで楽しめる。


    きらめく緑のスロープに爽快な風が吹き抜けるグラススキー場。いまやトレンディーな ニュースポーツであるグラススキーは、緑の風と太陽というグリーン志向にぴったりだっ たからである。 2年に1度開かれる世界選手権大会では、 2001年で第12回目。イタリアのフォルニ・デ・ソプラで開かれる。日本では、第5 回の世界選手権大会を長野県の野辺山ハイランドで開催したことはご記憶の方もあろう。 昭和60年6月、日本グラススキー協会を発足させたとき、我が国のグラススキー場は わずかに1ヶ所だけ。野辺山大会のときでもわずか5ヶ所という、まさに時期尚早の大会 ではあったが、日本に寄せるヨーロッパ各国のグラススキーヤーの渇仰には、強力なもの があり、いわば押しまくられて開かされたという面もあったが、世界の一流選手の滑走を 目の当たりにして日本のヤングも総毛立った。そして、いまや愛好者は50万人を超えよう としている。


    全日本選手権大会は、2001年で第17回を迎え、佐賀県富士町天山ハイランドグラススキー場 が日本の一流グラススキーヤーの激突の場となる。全国に散在する登録クラブ(競技団体の支部 に当たる)は46。そこから選ばれた選手が集まる。上部団体であるFIS(国際スキー連盟) ポイントの保持者数から見て、世界10位以内という技術水準にある我が国だが、"雪なし県"で ある九州や沖縄の選手も、一年中、鍛えつづけた成果を見事に開花されることだろう。 ちなみに、今度IOCに復帰した南アフリカ共和国も有数のグラススキー国である。遠からずオ リンピックの公式種目となるグラススキーの覇者が、ヨーロッパアルプスからはるか遠くの南国 から輩出すると考えれば、実に楽しいことだと思う。 最後に、問い合わせも多いので、ここでグラススキーの用具を紹介しておく。キャタピラ式ス キー(ビンディング付)、ストック、ブーツ、ニーパット、エルボーパット、グローブ、メンテ ナンス用オイル。このうちストック、ブーツ、グローブはスノースキー用でOK。ウェアはスポ ーツに適していればよい。夏などは、ひじやひざをパットでカバーすれば、「Tシャツ&ショー トパンツ」といった身軽なスタイルで楽しめる。用具一式は愛車の後部座席やトランクに楽に収 まってしまう。もっとも日本グラススキー協会の公認するグラススキー場には、貸用具セットを 完備するようにお願いしているから、より身軽に楽しめよう。 公認スキー場の要件としては、ロッカー、男女別更衣室、シャワー完備をお願いしている。グ ラススキーは、滑走中に草がくいこむことで、常時、水洗いする必要がある。"洗い場"なるもの もなくてはならないのが、グラススキー場作りのユニークなところでもある。

    写真・・・

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